離島漁業再生支援事業の活動を紹介します。
離島漁業再生支援事業の元は水産庁で行っている事業です。
以下に水産庁による制度の趣旨を記載します。
「離島は、漁獲物の販売・漁業資材の取得など販売・生産面では不利な条件下に置かれており、特に近年、消費者の鮮度志向が強まる中、販売面では不利な状況におかれるようになっています。また、漁業就業者の減少・高齢化も一層進行しています。
このような厳しい状況にある離島漁業の再生のためには、地域資源である漁場の生産力の向上を図りつつ、地域の創意工夫により各島の特性を最大限に活用していくことが必要であることから、支援を実施します」
なかなか難しい趣旨ではありますが、簡単にいえば、「離島は不利なこともあるけど地域色を出した漁業活動でがんばれ!」ということですね。
この事業が御蔵島村にくることにより、御蔵島村離島漁業再生支援事業となり
御蔵島の特性を生かした事業として実施できます。
年間30日以上の漁業活動を頑張っている漁業者が中心となった御蔵島村漁業集落が形成されることが必要ですので、 御蔵島村漁業協同組合の協力のもと、頑張る漁業者中心の漁業集落を構成し事業スタートとなります。
主な活動として
①「漁場生産力向上を目指す活動」
②「漁場の再生を目指す取組」
この二点を軸とした活動があります。
漁場調査活動
御蔵島では昔からメイバ、シタダミと呼ばれるクボ貝類を採取していました。
ただ資源量には限りがあるので、採取の際には細心の注意が必要です。
禁漁の時期もありましたが、現在は解禁されています。
定期的に資源量調査を行い、適切な資源管理を目指します。
漁場監視活動
御蔵島沿岸海域での漁業活動には、地元の自主ルール、東京都のルール等があります。今まで、そのようなルールが守られているか否かのチェック体制はありませんでした。
漁場を定期的に監視しルールが守られているかを、チェックし乱獲などを防ぐこととしました。
漁業再生の取組、協業化、安全性の向上
御蔵島の漁船は他の島と比べて小型のものがほとんどでしたが、最近は漁船の大型化を目指す漁師も出てきています。しかしながら港には大型漁船に対応した設備が不足しているのが現状です。荒天時に大型漁船を陸揚げしても、安全に陸揚げできる施設がなく危険であるという問題もあります。そのため、令和6年度の離島漁業再生支援事業では安全に漁船を陸揚げできる大型船台を購入しました。これによる安全性の向上だけでなく、船底清掃もしやすくなり、漁船の燃費の向上にもつながることを期待します。
新たな商品作り
御蔵島の水産物に付加価値を・・・
御蔵島で過剰に捕れた水産物を買い取り、漁業者所得の向上を目指します。
買い取った水産物は加工してお土産品などに利用できるようにします。
また過剰に捕れた鮮魚を冷凍保存することにより、漁が盛んでない時期でもお魚を提供できるようにします。
種苗放流活動(伊勢海老編)
御蔵島で行われている伊勢海老漁。
落ちエビと言われる小さな伊勢海老、またはメスの海老は漁師さんが自主放流しています。
将来の漁業を見据えての活動。
ただ、労力もかかるため、なかなか積極的に行えない現状があります。
そこで漁業集落で落ちエビを買い取り、放流作業を積極的に行うこととしました。
資源の好循環を作り、漁師さんの所得向上につながることを願います。
売れ残り鮮魚を使い、地産地消の取り組みを行う。
御蔵島でとれた鮮魚は荒天などで、出荷できないこともよくあります。そのため、せっかく水揚げされた鮮魚が島内販売だけでは売り切ることができなく、売れ残りが発生することがたびたびあります。そんな問題を少しでも解決するために、漁業集落ではできるだけ余ってしまった鮮魚を買い取り、加工して、村の団体様に利用してもらうことにより、地産地消を目指した活動を行います。